Brian Eno ヴァイナル収集の完全ガイド
Brian Enoはアンビエントや実験音楽における最重要人物の一人で、ヴァイナルでのディスコグラフィーは50年以上にわたります。画期的な『Ambient』シリーズやRoxy Musicでの先駆的な仕事、David BowieやTalking Headsとのコラボレーションなど、Enoのレコードは本格的なコレクターにとって欠かせません。サウンドとプロダクションにおける彼の革新性により、特定のプレスは現在の市場で高値を付けています。
必携のBrian Enoヴァイナル・アルバム
コレクションはまず『Ambient 1: Music for Airports』(1978)から始めるべきです。本作はアンビエントというジャンルを定義した作品で、彼の代表作です。『Another Green World』(1975)はアートロックからアンビエントへ移行する過程を示す傑作とされます。『Discreet Music』(1975)はミニマリズムや生成音楽の探究という点で重要な一枚です。デビュー作『Here Come the Warm Jets』(1974)や『Before and After Science』(1977)は、歌もの寄りの実験ポップに興味がある人に必須。1978〜1982年に発表された『Ambient』シリーズ(volumes 1–4)は彼のアンビエント探求の頂点で、コレクターは優先的に押さえるべきです。
レアで価値の高いプレス盤
EG Recordsの白ラベル仕様で流通した『Music for Airports』のUK初版は非常に価値が高く、状態によっては$100〜300程度で取引されることが多いです。1974〜1975年のIsland Records初期プレスの『Here Come the Warm Jets』や『Taking Tiger Mountain (By Strategy)』は、オリジナルのインナー・スリーブが残っていると特に人気があります。Editions EGから出た日本盤は音質が良く、帯(OBI)付きのものは高値がつきやすいです。『Thursday Afternoon』(1985)は限定盤やビデオ作品に関連した特別なプレスがあり、相応の価格になることがあります。David Byrneとの共作『My Life in the Bush of Ghosts』(1981)やDavid Bowieとのいわゆる"Berlin Trilogy"関連のオリジナル盤もコレクターに非常に人気です。
収集のコツ
Enoのプレスを判別するときはデッドワックス(ランアウト溝)に刻まれたマトリクス番号を確認してください。初版はリイシューと異なるスタンパー・コードを持つことが多いです。オリジナルのEG Recordsリリースはラベルデザインやカタログ番号で識別でき、初期プレスは特徴的なEGロゴが入っています。ジャケットのバリエーションにも注意を払いましょう。例えば『Another Green World』はUK盤とUS盤でアートワークが異なる場合があります。静かな楽曲が多いため音のノイズが目立ちやすく、最適なリスニングにはVG+(Very Good Plus)以上の良好なコンディションを優先することをおすすめします。
価格ガイドと市場動向
主要なオリジナル盤は価値が上昇しており、『Music for Airports』の初版は概ね$80〜250くらいで推移する一方、一般的なリイシューは$20〜40程度が相場です。『Another Green World』や『Before and After Science』の初版は、状態やプレス元によって$50〜150程度が目安です。アンビエントや実験音楽への継続的な関心によりEnoのヴァイナル市場は堅調で、未開封のオリジナル盤はプレミア価格になることがあります。AstralwerksやUniversalなどによる近年のリイシューで入手しやすくなった作品もありますが、歴史的価値やマスタリング面でオリジナル盤を求めるコレクターは依然多いです。
主要なプレス盤と、その違いを見分けるポイント
Here Come the Warm Jetsの場合、基準となるのはIslandのイギリス初回プレス盤だ。ピンク・リムのIslandレーベル、テクスチャー加工を施した見開きジャケット、そしてランアウトに刻まれた初期のA-1U/B-1U系マトリクスが、コレクターがまず確認する手掛かりとなる。後年のイギリス盤はパームツリー・レーベルに移行し、初回盤ならではの価値はやや薄れる。また、多くの再発盤では、より平坦で手触りの乏しいジャケットが使われている。 Taking Tiger Mountain (By Strategy)も、レーベルが多くを物語る作品のひとつだ。オリジナルのイギリス盤はやはりピンク・リムのIslandレーベルで、初期マトリクスと、70年代半ばらしい厚手で頑丈なジャケットが特徴となる。よく見かける後年盤は、70年代後半から80年代にかけてのパームツリー・レーベル仕様が中心。再生する分には申し分ないが、コンプリートを目指すコレクターにとっての人気は低い。 Before and After Scienceは、安定して売れ続け、ほぼ見分けのつかないエディションが数多く存在するため、判別が難しい作品だ。初期のイギリスPolydor盤は、初期のレーベル・デザインと最初期のマトリクスの組み合わせで見分けるのが一般的。一方、後年のイギリス盤やヨーロッパ盤の再発では、レーベルや裏ジャケットに記された印刷会社表記、リム・テキストなどに細かな違いが見られることが多い。 Ambient 1: Music for Airportsでは、Polydorから出たイギリス初回盤と後年の再発盤を分けるポイントとして、レーベルのレイアウト、カタログ番号の表記方法、そして初期のランアウト刻印が挙げられる。近年の再発盤も音質は非常に優れている場合があるが、よりすっきりしたバーコード時代のパッケージや、異なるインナースリーブによって見分けやすいことが多い。
価格を左右する要素
Brian Enoのレコードでは、今なおコンディションが価格を最も大きく左右する。スリーブの擦れ、割れ、リングウェア、盤面ノイズまで考慮すると、きれいなVG+盤の価値は、同等のNear Mint盤の半額、あるいはそれ以下になることも珍しくない。Another Green Worldのような作品では、状態のよい後年再発盤が20〜35米ドル前後で見つかる一方、付属品が揃い、見た目にも魅力のあるイギリス・オリジナル盤は、コンディション次第でおよそ60〜120米ドルの価格帯に届くことがある。 「初回プレス=高額」と単純に考えられるほど、希少性は一筋縄ではいかない。確かにイギリスの真の初回プレス盤は市場の中心となるが、プロモ盤、輸出仕様盤、あるいは短期間しか存在しなかったレーベルのバリエーションも、出自が明確に記録されていればプレミアが付くことがある。カラーヴァイナルや現代の限定盤が通常のブラック・ヴァイナル再発盤を上回る価格で売られることもあるが、流通量が多かった場合、そのプレミアは薄れやすい。 プレス国も重要だ。Enoの70年代ソロ作品では、イギリス・オリジナル盤が基本的なターゲットになりやすく、アメリカ盤は比較的手頃なことが多い。大まかな目安としては、代表作の一般的な再発盤が20〜40米ドル、状態のよいオリジナル・プレス盤が50〜150米ドル、さらに希少で極上コンディションの仕様になると、それ以上になることもある。価格差を生むのは通常、コンディション、初回盤であることを裏付ける詳細、そしてそのバージョンがどれほどの頻度で市場に出てくるかだ。