Led Zeppelin IVのレコード、本当の価値はいくら?

まず、このページの大半を左右する数字から見ていこう。Led Zeppelinの無題の4作目は、世界で3,700万枚以上を売り上げ、アメリカでは24×プラチナに認定されている。Discogsにはこの作品のレコード盤が557種類掲載されている。これだけ大量にプレスされたレコードなら、何百万もの家庭にあって、その多くは実際に再生されてきたはずだ。

だから、ほとんどの読者への正直な答えはこうなる。年代を問わず、普通に再生されてきたLed Zeppelin IVは、聴くための中古レコードだ。新品の再発盤より安く売られることが多い。これは相場の目安であって、個別の査定額ではないが、1970年代のUS盤の大半、1972年のUK再発盤、1977年のUS再発盤にはおおむね当てはまる。

このラインを超えるのは、主に次の3つの条件がそろった場合だ。

  • 1971年のUKオリジナル盤であること。赤とプラム色のAtlanticレーベル、カタログ番号2401012で、できれば最初期のレーベル仕様であること。
  • コンディションが極めて良いこと。厚手で非コーティングのゲートフォールド・ジャケットと、オリジナルのグレーのインナースリーブも含まれる。
  • サイン入りであること。確認できた5桁価格のLed Zeppelin IVは、いずれも4人全員のサインが入ったジャケットだった。

このガイドでは、レーベルとデッドワックスから手元の盤を見分ける方法と、実際に記録を確認できた売買事例を紹介する。

UKオリジナル盤(Atlantic 2401012)の見分け方

このアルバムは1971年11月8日に発売された。UKではAtlanticから、Polydorの販売網を通してリリースされ、カタログ番号は2401012。レーベルは赤とプラム色で、中央に白い帯がある。3時位置にあるカタログ番号は「"deluxe 2401012"」(「deluxe」はPolydorの価格帯を示す表記で、エディション名ではない)。UKではこのデザインを「plum」レーベルと呼ぶ。

UK盤では、次の点を確認しよう。

  1. ジャケット:厚手で非コーティングのゲートフォールド。表、裏、背のどこにもタイトル、バンド名、カタログ番号がない。内側にはBarrington Colebyによる絵画The Hermitがある。
  2. インナースリーブ:片面に「"Stairway to Heaven"」の歌詞、もう片面にクレジットが印刷された濃いグレーの厚紙製。これがない盤は完品ではない。
  3. 刻印マトリクス:片面1に2401012 A//3、片面2に2401012 B//3または2401012 B//4があり、その後ろに小さなマザー番号とスタンパー番号が続く。
  4. 手書きのサイン:片面1にPECKO DUCK、片面2にPORKY。どちらもカッティング・エンジニアのGeorge "Porky" Peckhamによるサインで、Discogsではラッカー盤のカッターとしてクレジットされている。

この刻印があればPeckhamカットで、すべてのプラム・レーベル仕様に見られる。「A Porky Prime Cut」と「Pecko」は1972年の再発盤にも登場する。どの時期の盤かを判断するにはレーベルを見る。マザー番号とスタンパー番号については、ランアウト番号の読み方ガイドで詳しく説明している。

プラム・レーベルの仕様違い:最初期はどれか

Discogsでは、UKプラム・レーベルについて、同じ2401012のマトリクスを使った確認済みの仕様が8種類記録されている。最初期のものには、数週間のうちに変更された特徴が残っている。

  • 第1仕様:片面2のレーベルにある羽根のマークが上下逆に印刷されている。クレジットには「Executive Producer: Peter Grant」とあり、出版社はKinney Music Ltd.のみで、Superhype Musicの表記はない。バンド名はスピンドル穴の下に印刷されている。
  • 第2仕様:羽根は正しい向きになっているが、Peter Grantのクレジットはまだ残っている。
  • ステッカー貼付盤:初期盤の一部には、刷り直したレーベルが届く前に、レーベルの文字を訂正するステッカーが貼られていた。
  • 後期仕様:Peter Grantのクレジットが消え、Superhype Music Inc.が追加される。「Led Zeppelin」はスピンドル穴の上へ移動する。片面2のレーベルで「Misty Mountain Hop」が「Misty Mountain Top」と誤植された仕様もある。

Jimmy PageはレーベルからPeter Grantのクレジットを削除させたが、印刷されたインナースリーブには残った。そのため、クレジット入りのインナースリーブだけでは盤の年代は判断できない。見るべきはレーベルだ。

第1仕様は本当にかなり少ないのか。コレクターは第1仕様により高い相場をつける。Discogsでは、第1仕様のリリースを所有しているユーザーが約3,900人、欲しいものリストに入れているユーザーが約4,500人。これほど流通量の多いレコードとしては、所有者に対する欲しい人の比率が高い。ジャケットとインナーを別々にグレーディングするなら、レコードのグレーディング・ガイドを使おう。

USオリジナル盤(Atlantic SD 7208):レーベル、プレス工場、ランアウト

US盤の品番はAtlantic SD 7208。次の点を確認しよう。

  • レーベル:US盤はAtlanticの緑とオレンジ(赤と緑とも呼ばれる)レーベルで、リム・テキストに「1841 Broadway」とある。赤とプラム色のレーベルはUK仕様だ。
  • レーベル・マトリクス:片面1はST-A-712285、片面2はST-A-712286。その後ろにPR、RI、MOなどの工場コードが続くことがある。
  • ランアウト:たとえばST-A-712285-C AT/GP PR PORKYとST-A-712286-C PR PECKO DUCKのような手書き刻印がある。AT/GPは、Atlantic StudiosでGeorge Pirosがカッティングしたことを示す。PorkyとPecko Duckのサインもここに見られる。
  • ジャケット:外側には文字がなく、ゲートフォールド仕様。印刷インナースリーブが付く。

プレス工場。Discogsには、Presswell(レーベルとランアウトにPR)、インディアナ州リッチモンドのPhilips(レーベル・マトリクスの後ろにRI)、ロサンゼルスのMonarch(レーベルにMO、デッドワックスにMRのロゴと△16345)、Terre HauteにあるColumbiaの工場(レーベル・マトリクスにサフィックスなし)による1971年盤が記録されている。いずれもオリジナル盤だ。公式に「最初」とされる工場はなく、どの工場の盤もブートレグではない。

後年のUS盤。Atlanticは1977年に同じアートワークでアルバムをSD 19129として再発し、Discogsによればこの仕様は1980年代半ばまで生産が続いた。レーベルがSD 19129なら、再発盤だ。

1971〜72年の各国盤

UKとUS以外では、それぞれ別のカタログ番号で発売された。以下は2026年10月12日に確認したDiscogsのマスター・リリースによる。

  • カナダ:Atlantic SD 7208。Kinney Music of Canadaが製作し、Quality Recordsでプレスされた。ランアウトはSD-7208-S1/SD-7208-S2で、Qが入る。
  • ドイツ:Atlantic ATL 50 008。Teldecでプレスされ、ランアウトは50.008-A PFと「Manufactured in Germany」。初期盤の一部には販促ポスターが付いていた。
  • フランス:Atlantic 50 008。赤とプラム色のレーベルで、非コーティングのゲートフォールド仕様。一部の盤には、カタログ番号と価格コードが入った印刷クリア・ビニール袋が付いていた。
  • 日本:Atlantic P-8166A。Warner-Pioneerが製作し、¥2,000の「Rock Age」帯と日本語インサートが付く。タイトルが記載されているのは帯だけ。帯なしの盤はコレクター間ではかなり安くなる。
  • オーストラリア:Atlantic SD-7208。Discogsでは1971年盤のなかで所有者が最も多く、約9,800人が所有している。
  • UK、1972年以降:Atlantic K 50008。緑とオレンジのレーベルで、K-50008-A1のようなランアウトと「A Porky Prime Cut」のサインがある。オリジナル盤ではなく再発盤だ。

プロモ盤、クラブ盤、カラーレコード

USプロモ盤。 Atlanticは、1841 Broadwayの住所が入った「Sample Copy Not For Sale」表記の白ラベル盤をプレスした。ジャケット自体に曲目やシンボルがないため、表面にシンボルと曲名を並べた黒いステッカーが貼られているものもある。いずれも正規盤で、コレクターズアイテムとして評価されている。Popsikeのアーカイブによると、盤質EXの個体が2007年5月にeBayで$225で落札された。真贋の見分け方はプロモ盤とテスト盤の見分け方で詳しく解説している。

レコードクラブ盤。 USでは2つのクラブがこのアルバムを通信販売していた。Record Club of America盤は、レーベルと裏ジャケットのステッカーにその旨が記載されている。Capitol Record Club盤は、背表紙とレーベルにSMAS-94019、ランアウトにSMAS 1 94019が入る。どちらも完品のレコードだが、店頭販売盤より相場は低い。詳しくはレコードクラブ盤の基礎知識を参照。

カラーレコード。 1971年にはカラーレコードは発売されていない。最初の正規カラーレコードは1978年に英国で発売されたK 50008で、ライラック色の盤に「LIMITED EDITION COLOURED VINYL」ステッカーが付く。

注目盤を一気に見られる一覧表

Discogsにはこのアルバムのレコード版が557種類登録されている。以下の表では、英国盤のプラム・レーベル各種、US盤のプレス工場別バリエーション、クラブ盤とプロモ盤、1971–72年の主要各国盤、そして押さえておきたい再発盤を、Discogsに記録されたA面ランアウトとともにまとめた。

年国レーベル/品番フォーマットランアウト(A面)
1971CanadaAtlantic SD 7208LP / Album / GatefoldSD-7208-S1 ③XW Q W
1971FranceAtlantic N° 50.008LP / AlbumATL A2 50 008 A C ✳
1971JapanAtlantic P-8166ALP / Album / Stereo / GatefoldP - 8166A - 1 / 7 - C - 7 / ITY / 1 [circled]
1971UKAtlantic 2401012LP / Album / Version 1Pecko Duck
1971UKAtlantic 2401012LP / Album / Stereo / Version 2 Pecko Duck
1971UKAtlantic 2401012LP / Album / Stereo / Version 5, Gatefold2401012## A//3 1 3 5 PECKO DUCK
1971UKAtlantic 2401012LP / Album / Version 82401012 ** A//3 1 3 10
1971UKAtlantic 2401 012LP / Album / Version 4, Gatefold Sleeve 2401012## A//3 1 21
1971USAtlantic SD 7208LP / Album / Stereo / Richmond [Philips] PressingST-A-712285-C ATL-GP PR PORKY
1971USAtlantic SD 7208LP / Album / PR - Presswell PressingPORKY ST-A-712285-C AT/GP PR
1971USAtlantic SD 7208LP / Album / Stereo / GatefoldST-A-712285
1971USAtlantic SD 7208LP / Album / Stereo / Monarch PressingST-A-712285-DD AT/GP MR △16345 (2) PR PECKO
1971USAtlantic SD 7208LP / Album / Club Edition / Richmond PressingPORKY ST-A-712285-EEE-1 AT/GP PR
1971USAtlantic SMAS-94019LP / Album / Club Edition / Capitol Record ClubSMAS 1 94019 W2 #1
1971USAtlantic SD 7208LP / Album / Promo / Richmond [Philips] PressingST-A-712285-F ATRP "Porky"
1972GermanyAtlantic ATL 50 008LP / Album / Stereo / TELDEC Pressing50.008-A PF Manufactured in Germany
1972UKAtlantic K 50008LP / Album / Reissue / GatefoldK50008
1977USAtlantic SD 19129LP / Album / Reissue / RI - Richmond PressingPORKY ST-A-712285-EEE+-1AT/GP PRC
1978UKAtlantic K 50008LP / Album / Reissue / Limited Edition / LilacQ K50008 A2 EG
2000USClassic Records SD 7208LP / Album / Reissue / 180 gramSD-7208-A BG
2008USAtlantic SD 7208Box Set / Album / Limited Edition / Reissue / RemasteredSD-7208-A1-45 <Bernie Grundman>
2014EuropeAtlantic 8122-79657-7LP / Album / Reissue / Remastered / Stereo / Gatefold, 180gBD 16359-01 A1 A1 JD
2014USA & CanadaAtlantic R1-535340LP / Album / Reissue / Remastered / Stereo / 180g, GatefoldR1-535340 A1 JohnD -28112- P.USA

出典:Discogs データベース(2026-10-12 時点)。このタイトルのアナログ盤 557 点のうち 23 点を古い順に掲載。

知っておきたい再発盤:

  • Classic Records SD 7208: 180グラムLP(Discogs上では2000年)と、45回転・200グラムのボックス(同2008年)がある。どちらもBernie Grundmanによるカッティングで、ランアウトにはBGまたは「Bernie Grundman」が入る。
  • 2014年リマスター: Jimmy Pageがリマスターとプロデュースを担当し、John DavisがMetropolisでラッカーをカッティングした。US/カナダ盤はR1-535340で、Pallasがプレス。欧州盤は8122-79657-7で、Optimal Mediaがプレスしている。2枚組Deluxeと、ナンバリング入りSuper Deluxeボックスもある。
  • 現在流通している2014年リマスター盤は現行商品で、きれいな盤を手軽に入手するならこの選択肢がわかりやすい。

コレクターにとって、1971年のオリジナル盤と再発盤は別物だ。見分け方は、どのアルバムにも応用できるオリジナル盤と再発盤の見分け方で解説している。

記録で確認できるLed Zeppelin IVの落札例

サインのない盤が$5,000を超えて売れたオークション記録や報道記録は確認できなかった。最高額として確認できるのは、4人全員のサイン入り初回盤で£19,200(Bonhams、2023年5月24日)。以下は、販売場所と時期まで確認できた記録だ:

品物落札額販売場所・時期
英国盤2401012初回盤(第3レーベル仕様)、裏ジャケットに4人全員のサイン、来歴証明書付きプレミアム込み£19,200Bonhams, Rock, Pop & Film、lot 174、London、2023年5月24日
4人全員のサイン入りフロントジャケット(レコードなし)プレミアム込み$13,912RR Auction、lot 150、2014年10月23日終了
4人全員のサイン入り、レコード付きプレミアム込み$2,972RR Auction、lot 941、2012年4月26日終了
英国盤初回盤、初期レーベル(Peter Grant表記、逆向きの羽根)、A//3 / B//3、盤質EX£472eBay、2017年8月14日(Popsikeアーカイブ)
英国盤初回盤、ステッカー付き初期レーベル、A//3 / B//3、盤質NM£350eBay、2018年8月31日(Popsikeアーカイブ)
英国盤プラム・レーベル、後期仕様、A//3 / B//4、EX++£103eBay、2010年8月11日(Popsikeアーカイブ)
US盤SD 7208白ラベル・プロモ、盤質EX/EX+$225eBay、2007年5月18日(Popsikeアーカイブ)

注目したい点は2つある。まず、価格を押し上げるのはサインだ。状態の良いサインなしの英国盤初回盤は、数千ポンドではなく数百ポンドで落札されている。次に、eBayの記録は数年前のものなので相場は動く。価格表ではなく、おおよその価格帯として見るべきだ。手元の盤を調べるなら、「Led Zeppelin IV」全般ではなく、同じレーベル仕様とマトリクスの直近の落札例と比較しよう。

どのLed Zeppelin IVを買うべきか

求めるもの買う盤理由
英国オリジナルの音とモノとしての魅力PECKO DUCK / PORKY入り、グレーのインナースリーブが付いた1971年英国盤2401012プラム・レーベルコレクター向けのオリジナル盤。高く払うのは初期レーベル仕様と盤のきれいさに対してだけ。
安くUSオリジナルを手に入れたいどのプレス工場でもよいので、AT/GPのランアウトが入った1971年SD 7208流通量が多く、価格も手頃。状態で選べばよい。
贈り物用の新品2014年Jimmy Pageリマスター(R1-535340または8122-79657-7)現行商品で、180グラム。見つけやすい。
オーディオファイル向けのプレスClassic Records SD 7208(Bernie Grundman)廃盤。ランアウトにBGがあるか確認しよう。
日本盤のコレクターズアイテムRock Age帯とインサートが付いたWarner-Pioneer P-8166A日本国外では完品が少ない。

未開封盤を考えているなら、まず未開封レコードの本当の価値を読んでおこう。シュリンク付きのLed Zeppelin IVは、1971年盤より再発盤である可能性のほうがはるかに高い。

1分で手元の盤を確認する

  1. レーベルのカタログ番号を見る。 2401012なら1971年の英国盤。SD 7208ならUS盤、カナダ盤、またはオーストラリア盤。K 50008なら1972年以降の英国再発盤。SD 19129なら1977年のUS再発盤。R1-535340または8122-79657-7なら2014年リマスター。
  2. 英国盤のプラム・レーベルでは、 B面の羽根のシンボルとレーベル下部を確認する。逆さの羽根、Peter Grantのクレジット、訂正ステッカーがあれば初期仕様の可能性がある。
  3. デッドワックスを読む。 A//3とPECKO DUCKの組み合わせは英国オリジナル盤。ST-A-712285とAT/GPならUSオリジナル盤で、プレス工場コードからどこでプレスされたかがわかる。
  4. 付属品を確認する:「Stairway to Heaven」の歌詞が印刷されたインナースリーブと、日本盤なら帯。
  5. 盤とジャケットは別々に、 正直にグレーディングする。

ランアウトを目を凝らして読むのが面倒なら、最初の確認はVinylAIに任せられる。レーベルを撮影すれば、リリースとプレスを判別し、コレクションに追加してくれる。買取に出す段階になったら、盤の種類ごとにどこで売るのが有利かをレコードを売る方法で確認しよう。