結論:まず音楽で選び、そのあとで買う盤を決める
毎年12月になると自然にターンテーブルに載せたくなる。それが、いいクリスマス・レコードの条件です。ジャケットを棚に飾ったときの見栄えだけで選ぶものではありません。クリスマスの名盤レコードを集めるときの第一原則は、まず音楽を追うこと。Bing Crosbyの歌い回し、Vince Guaraldi Trioのアレンジ、Phil Spectorの音の壁を聴き、そのうえで盤を選びます。アルバムが決まれば、実際に検討すべき選択肢は3〜4種類ほど。Discogs検索に並ぶ15件すべてを相手にする必要はありません。
もちろん、盤の違いはあります。ただし、シュリンクのステッカーがうたう売り文句ほど単純ではありません。クリスマスの再発盤にある「オーディオファイル」という表記だけでは、ほとんど判断できません。重要なのは、オリジナルのアナログ・マスターテープかデジタルファイルか、誰がマスタリングしたか、どの回転数でラッカーをカッティングしたかです。そこを見分けるのが初めてなら、オーディオファイル向けレコードの見分け方とオリジナル盤と再発盤の違いを、35ドルの「決定版」を買う前に読んでおくとよいでしょう。レコード趣味自体が初めてなら、レコード・コレクションの始め方で、1962年のBing Crosby LPにもそのまま使える盤質表記や中古盤購入の基本を確認できます。
おすすめ作品:何を持つべきか、その理由
これは珍盤シングルを混ぜて水増ししたベスト40ではありません。時代も気分も異なるのに、毎年きちんとコレクションやDJの箱に残り続ける定番クリスマス・レコードです。それぞれが、ほかの作品にはない魅力を持っています。
- A Charlie Brown Christmas — Vince Guaraldi Trio (1965):古びることのない、控えめなジャズ・トリオのアレンジ。
- A Christmas Gift For You From Phil Spector (1963):このリストで最も音が大きく、幸福感に満ちた1枚。Wrecking Crewの演奏とDarlene Loveの歌声が核です。
- Bing Crosbyのホリデー録音:その後のクリスマス作品が基準にしてきた、クルーナーの原点。
- Ella Fitzgerald Wishes You a Swinging Christmas:Crosbyの抑制に対して、温かさとスウィングを聴かせます。
- Nat King Cole — The Christmas Song / The Magic of Christmas:豊かなオーケストレーションと、実に素晴らしい歌唱。
- The Beach Boys' Christmas Album (1964):ホリデー・スタンダードにサーフ・ポップのハーモニーを重ね、Brian Wilsonのオリジナル曲も収録。
- Stevie Wonder — Someday at Christmas (1967):社会への意識が通底するMotownソウル。
- Sufjan Stevens — Songs for Christmas:インディー・フォークの広がりを持つ作品で、もともとは5枚のEPとして別々に発表されました。
- Low — Christmas (1999):スロウコアのミニマリズム。このリストではクルーナー作品の対極にある1枚です。
- Mariah Carey — Merry Christmas (1994):現代ポップスの定番であり、多くの世代にクリスマス・レコードを知らしめた作品。
このうち半分を持つだけでも、同じクルーナー系の盤を6枚集めるより、時代もムードも幅広くカバーできます。
クルーナー作品の定番
Bing Crosbyはクルーナー作品の系譜の土台です。彼を外した「クリスマス名盤」リストは、その後のほぼすべての源流を見落としています。さまざまなタイトルでまとめられてきたDecca時代の録音は、Nat King Cole、Dean Martin、Frank Sinatraが受け継いだ歌い回しとオーケストラ伴奏の型を作りました。Sinatra自身のクリスマス・アルバムは、普段の swagger よりも温かみのあるビッグバンド・アレンジで録音されており、Crosbyの抑制の効いた歌唱とはまったく違う聴き心地です。
Nat King Coleのクリスマス録音は、Crosbyの後継というだけでなく、それ自体の価値で棚に置くべきものです。「The Christmas Song」を自在に操る彼の歌唱が、多くの人が曲名を聞いて思い浮かべる定番版を生みました。Ella FitzgeraldのWishes You a Swinging Christmasは、作品によっては停滞して聞こえかねない楽曲に、本物のスウィング感と即興のゆるやかさを加えています。この4組こそ、多くの人が定番クリスマス・レコードと呼ぶものです。何度も再発されるのも当然で、アレンジも演奏も今なお十分に通用します。
ジャズとインストゥルメンタルのクリスマス盤
ここで中心になるのは、やはりVince Guaraldi TrioのA Charlie Brown Christmasです。アニメに結び付いた企画盤というだけではなく、どの季節にも愛される本格的なジャズ作品のひとつです。ピアノ、ベース、ドラムというトリオ編成がアレンジを簡潔に保つため、同じ時代のオーケストラ系ホリデー作品のように古くさくならず、長く楽しめます。このタイトルが何十年にもわたってどう再発されてきたかを詳しく知りたい方は、Charlie Brown Christmasの盤違いガイドをご覧ください。
Guaraldi以外にも、同じ時代の小編成ジャズによるクリスマス盤は、中古レコード店の棚で見つけたらアーティスト名を知らなくても手に取る価値があります。ピアノ・トリオやオルガン・コンボが、スタンダードをゆったり演奏する作品です。大物クルーナーの盤に比べると安く、見過ごされがちですが、録音は予想以上に良いことが少なくありません。当時のジャズ・レーベルは、商業的な磨き上げよりも、クリアでダイナミックなスタジオ録音を優先する傾向があったからです。
ソウル、ロック、ポップスのクリスマス盤
Phil SpectorのA Christmas Gift For Youは、クリスマス・アルバムが静かな音楽である必要はないと証明した作品です。Darlene Loveが歌う「Christmas (Baby Please Come Home)」は、Spectorのプロダクションを離れてもスタンダードになった理由そのものです。The Beach Boys' Christmas Albumは伝統的なキャロルとBrian Wilsonのオリジナル曲を組み合わせ、単に定番曲をカバーするのではなく、バンド固有のサウンドをホリデー作品に落とし込んだ好例です。
Stevie WonderのSomeday at ChristmasはMotownの社会意識をこのフォーマットに持ち込み、James Brownのクリスマス録音はファンクで同じことを行いました。また、長く聴き継がれているクリスマス録音の中には、そもそもアルバムではないものもあります。John Lennon and Yoko Onoの「Happy Xmas (War Is Over)」は単独シングルとして発売されました。買い物ではフォーマットも重要だという好例です。目の前の盤が本当にアルバムなのか分からないときは、LP・EP・シングルの違いが役立ちます。
棚に置く価値のある現代のクリスマス・レコード
Sufjan StevensのSongs for Christmasは、友人に送るための5枚の限定EPとして始まり、のちにボックスセットへまとめられました。広がりがあり、ところどころ不均一ではあるものの、インディー・フォークのホリデー作品として今なお基準になるほど独創的です。She & Himのクリスマス作品は、より軽やかで現代的なプロダクションによってクルーナーの伝統に寄り添います。一方、LowのChristmasは正反対のアプローチ。スロウコアのミニマリズムをホリデー・スタンダードに施し、このリストのどの作品とも違う音に仕上げています。
Mariah CareyのMerry Christmasもここに加えるべきでしょう。珍しい発掘盤だからではなく、その圧倒的な存在感自体がコレクションの対象になっているからです。今やほぼ毎年新しいアナログ盤が出ており、若い世代のコレクターがクリスマス・レコードを知るきっかけになった作品でもあります。季節限定の棚を作るなら、年に一度しか出さない盤を使用時期以外も良い状態で保つために、レコード収納とディスプレイのアイデアも参考になります。
作品ごとにどの盤を買うべきか。盤違いが思うほど重要でない理由
多くの「クリスマス名盤」記事が完全に省いているのが、具体的にどの盤を買うべきかという話です。盤による違いは確かにありますが、宣伝文句ほど大きくないことがほとんどです。60ドルのカラーレコード限定盤が、同じ棚にある20ドルの黒盤とまったく同じデジタル時代のマスターを使っていることも珍しくありません。音を変えるのは、レコードの色やステッカーの「デラックス」という言葉ではなく、マスタリングのソースとエンジニアです。
| アルバム | おすすめの盤 | 一般的な販売価格 | 避けたい盤 |
|---|---|---|---|
| A Charlie Brown Christmas | アナログテープを音源にしたCraft Recordings再発盤 | およそ$25–$40 | デジタル音源からカットされた2000年代初頭の再発盤、および同じデジタル・カットを使ったカラーレコード再プレス |
| A Christmas Gift For You | Legacy/Sony再発盤、または真贋を確認できた状態の良いPhillesオリジナル盤 | 再発盤 ~$20–$30;真贋確認済みのオリジナル盤はしばしば$150+ | Spector作品を2〜3曲しか収録していない「Greatest Christmas hits」系コンピレーション |
| Bing Crosbyのホリデー録音 | 盤質の良いDecca時代のオリジナル盤、または信頼できる現代のコンピレーション | オリジナル盤はタイトルと盤質によりおよそ$15–$60;再発盤 ~$20–$25 | 薄くノイズの多いレコードを使った、レーベル表記のない廉価コンピ盤 |
| The Beach Boys' Christmas Album | Capitolのオリジナル・ステレオ盤、またはCapitolカタログの正規再発盤 | オリジナル盤はおよそ$30–$80;再発盤 ~$20–$30 | 音質よりパッケージを優先した企画ピクチャー盤 |
上記の価格はDiscogsや販売店の出品で見られる一般的な傾向で、盤質によって変動します。固定価格ではなく、相場を見るための出発点と考えてください。店頭のホリデー棚で盤を掘るときは、VinylAIのようなツールでバーコードを読み取ったり、その場でタイトルを検索したりすれば、手にしている盤の仕様と、実際に売れた同等品の価格を確認できます。レジで勘に頼る必要はありません。どの盤を買う場合も、支払う前に正直にグレーディングしましょう。レコードのグレード基準では、提示価格に見合うVG+盤と、そこまでの価値がないVG盤の違いを解説しています。
いくら払うべきか、相場が上がる時期
クリスマス・レコードの相場には分かりやすい季節変動があります。プレゼントを探す人が増えるため、販売価格は通常10月下旬から12月にかけて上がり、シーズンが終わる1月と2月には落ち着きます。自分用に買うなら、1月のセール時期や夏場を狙うのが簡単な節約方法です。売り手がプレミア価格を待ちにくい時期なので、同じ盤を実際に安く買えます。
初期のCrosbyやCole、SpectorやBeach Boysのファースト・プレスなど、真の定番作品のオリジナル盤は、盤質が良ければかなりの価値を持つことがあります。100円・1ドル均一の棚で見逃す前に、本当に高値になるタイトルを知っておくべきです。高値が付くクリスマス・レコードでは、コレクターが特に探しているタイトルと盤質を紹介しています。それ以外の人にとっては、出どころのはっきりした再発盤のほうが、金銭面でも実用面でも良い選択です。毎年12月に気兼ねなく再生できるからです。自分の棚ではなくプレゼントを探しているなら、高騰するオリジナル盤を探し回る代わりに、カスタム・レコードの作り方で紹介しているサービスを使った、パーソナライズ盤も検討する価値があります。